アイコンとicon

以前のエントリ*1のheboyaさんのコメント関連でのトラックバックがあるようなので、「アイコン」と「icon」について、ちと考えてみました。

  • MacTechのContext Sensitive Help』で使われている『an icon』は何か?

これはアプリケーション内の「icon」と考えてよいと思います。
1987年当時のMacintoshはSystem4であり、まだMultiFinderは登場していません。*2すなわち、アプリケーションが起動すると通常Finderは一旦終了してしまいます。したがってMacTechの文脈ででてくる、デベロッパがContext Sensitive Helpを実装しなければならない「icon」とは、デベロッパ自身のアプリケーション内で使用されている「icon」のことであると考えられます。
また、実際に私の記憶でも、Context Sensitive Helpに応答するツールパレット上の「icon」があったと思います。

  • HyperCardにおけるボタンとアイコン


この1987年刊行のMacTech記事の図に見るように、HyperCardのボタンの属性設定ダイアログには「Icon...」というボタンがあります。
この「Icon...」ボタンをクリックすると、HyparCardスタックの持っているiconがずらりと並びますので、その中から好みのiconを選択すれば、ボタンにiconを貼付けることが出来ます。
先ほどのダイアログのStyleでtransparentなどを選べばボタンの枠が消えますから、あとは適当なscriptを設定すれば、「絵又は絵文字として表示して,コマンドを処理するもの」という先の判決で出された「アイコン」概念に該当するものを実現できます。また件のMacTechの図中には実際にそうして実現された「Helpアイコン」が存在しています。

「アイコンの意味の違い」と感じられるものは、松下が新しいアイコンの概念を作り出したものではなく、Macintoshなど、GUIによる操作が一般的になる過程で、「ボタン」と「アイコン」というの用語・概念の混用が起こったことによるねじれだと考えるのが妥当なところではないでしょうか?