伊藤美紀スゲー。幼女から大人の女性まで何役やってるんだ?
そして舞台演出にびっくりだよ。
イサミヒコ関連に比べて、守東のエピソードがなかなか出てこないと思ったらここでまとめてくるとは。
最後がオワリだったのは、桃華月憚本編とは切り離された守東の過去を説明するためのエピソードという扱いなのだろうね。
一話での未解明部分の多くが明らかになったわけだけどまだ完全じゃない。
由利子の死と撃たれた由美子が生き残った部分は曖昧なままだし、石剣の出現した経緯もよくわからない。
ちび桃香とパル彦の関連もまだ説明されていないし、そして何より、桃香と桃花が上津未原で出会う部分はまだこれからだし。

一話では寧々が桃花のことを、由美子が作った創作上のキャラクターだといっていたけれど、今回の舞台演出では、桃花が普通の登場人物として舞台に現れる一方、桃香は、まず最初のビデオ演出による由美子との対話で由美子の夢の中の存在として登場し、次には制服のみが現れ、さらに次のシーンでは桃花と背中合わせで会話する。その会話も対話していると言うよりもモノローグに近い感じで、その内容も、桃花と桃香が同一の存在であることの暗示になっている。
この舞台が上津未原の守東家の真実を語るものなのだとしたら、桃香に関しては、その不在こそが描かれている、ということになるだろう。
だけど桃香は言うのだ。

「お前が自分のことを自分だと思った瞬間から、(お前は)ここに居るんだ。だから、この世界はお前のものだ。この世界がいつかは幻に変わると、神さまが告げたとしても。」
と。

桃華月憚という物語の中で繰り返される作中作、劇中劇というモチーフは、このメッセージを「この世界で桃華月憚という物語をみている我々」に届けるための仕掛けなのだろう。
そして桃花の

「見えないものが見えますように」

という祈りは、すべてが作り事の幻であったとしても、その中に立ち現れる感情の真実が誰かに届きますように、というせつない願いなのかもしれない、などなどと思った。

次回は「桃」。全く桃華月憚は油断がならない。